家族に歩幅を合わせる暮らし【前編】

"近所"が実はとても面白いな と最近は思う

家族に歩幅を合わせる暮らし【前編】

千葉県八千代

このくらしの主
カトウシュンさん(37歳)

北海道函館市出身。高校卒業とともに地元を離れ、大学で建築を専攻。
大学院卒業の後、関東で建築設計の仕事をしながら、メディア「くらしてん」を運営。
日々の暮らしの中で感じたことをnoteで綴っている。

■カトウシュンさんの活動

朝からなんとも幸せな気持ちになる

朝7時半頃、起きてリビングへ行くと、息子と妻はすでに朝の支度を始めている。

息子は、毎朝自分を見つけると笑顔になって、それを見る度に朝からなんとも幸せな気持ちになる。
もともと朝は弱い体質なのだけれど、朝日がよく入るこの家に引っ越してからは、少しましになった気もする。
息子の世話をしなければという思いもあるのかもしれないが。

 

 

妻が用意してくれた朝ごはんを食べながら、お互いの今日の予定を話す。

ふたりとも基本的にリモートワークで週に何度か出社する程度。その日の予定によって家事の分担などをする。
息子の朝の着替えと保育園への送り迎えは基本的に自分の担当で、8時半頃には息子を保育園に送りに出かける。

 

 

郊外らしい何ということのない風景ではあるけれど 

保育園までは、歩いて5分ほど。
少し歩くだけで身体が目覚める感じがして良い。

郊外らしい何ということのない風景ではあるけれど、東京の密集した中で暮らしていたころを考えると、空間に余裕があって気が楽だ。
東京に暮らしているときは、家の周りであっても自分にとっては都会すぎて、自分の居場所ではない感じがあったけれど、この街の田舎っぽさは、なんとなく”自分の街”感がある。

息子は保育園へ向かう途中も、道端で目にする色々なものに興味津々な様子で、それをみてるとこっちも何だか新鮮な気持ちになる。

 

 

住宅街の中にある保育園に到着。

息子は保育園に通い出してまだ1~2ヶ月ほど。0歳児は彼1人だけで、保育園の中でもまだ一番小さい。
はじめは慣れない様子だったけど、最近は彼もだいぶ慣れてきたようで保育園の先生にもいつも笑顔だ。
自分の息子ながら意外と人見知りをしない性格で、なんだか良かったなといつも思う。これからもその調子でいってほしい。

他の子たちは、やはりお母さんが送り迎えをすることが多く、自分は少しだけ珍しい存在のような気がしているが、お父さんの送り迎えもちらほら見かける。

先生に、その日の体調など毎朝の申し送りをして保育園を出る。

 

 

両手が自由になると、気持ちも自然と軽くなる

保育園を出て、近くのコンビニへ。

保育園に息子とベビーカーを預けて両手が自由になると、気持ちも自然と軽くなる。
息子が生まれて変化したことのひとつは、自分ひとりでいる時間がとても身軽なものに感じるようになったこと。コンビニへ立ち寄って家に帰るだけのこのほんの少しの時間に、自由を感じる。
思えば、独身の時はずっと身軽ではあったのだけれど、その自由さをよくわかってなかったなと最近になってよく思う。

コンビニで、リモートワークの作業中のおやつを選ぶのが毎朝の楽しみになっている。

 

 

“近所”が実はとても面白い

コンビニからの帰り道も貴重な自由時間。
最近楽しんでいることは、道端の草花や雑草の名前を調べること。季節が移ることに繁茂する植物が変わっていくので飽きることがない。

息子が生まれて間もない頃は、これまでのように気軽に遠出できなくなり、ハンデを負ったような感覚もあったのだけれど、最近になって、半径500mにも満たない自分の生活圏内で充分楽しめていることにある時ふと気付いた。
これまでは、”楽しむためには街に繰り出す”という感覚があったけれど、”近所”が実はとても面白いなと最近は思う。
コロナの影響もあり遠出できない中でも、そこまで不便を感じていないような気がする。

 

 

9時頃家に戻ると、犬が迎えてくれる。彼女も大切な家族の一員。
彼女は、息子より半年程早い生まれだ。

このマンションに引っ越してからずっと4人で暮らしていて、息子と犬のお姉ちゃんが一緒に育っていく姿をみるのが自分にとって一番の癒しになっている。

 

 

うちの奥さんかっこいいな

ダイニングでは、妻がすでに仕事を始めている。

お互いがリモートワークになったことで、妻の仕事ぶりをみられることも自分にとっては新鮮だった。リモート会議などでしっかり発言しているところをみると、うちの奥さんかっこいいなとよく思う。

 

 

少しすると、自分も仕事に取り掛かる。

今所属している会社は、出社義務や勤怠管理がなく、やるべきことをやっていれば基本的に自由という会社だ。そんな自由な社風が気に入って、最近になって転職した。

これまで色々な会社に所属してきたけれど、今は時間も縛られていないし、効率よく短時間で作業して、その他の時間は趣味や個人のプロジェクトに当てられるようにするなど、逆にしっかりとスケジュール管理をする様になったと思う。
なんとなくフリーランスの働き方に近いと思う。

 

 

仕事をする場所は、特に縛られていないので、カフェで仕事をすることも。モーニングをやっているカフェが近くにいくつかあって、かなり良い朝の時間を過ごせる。

 

 

空が大きく見えて気持ちいい

作業に疲れると、ルーフバルコニーへ出て一息つく。
周りは高い建物がなく、空が大きく見えて気持ちいい。

この家を購入した理由の一つが、このルーフバルコニー。マンションではあるけれど、視界も抜けて庭もあって、戸建てのような感覚があって良い。
この家に来てから、ガーデニングが趣味になり、植物を少しずつ増やしていっている。

 

 

12時頃。昼は、妻と一緒に軽い食事をする。
さくっと食べて、昼寝をしに寝室へ。

昼寝をすると、午後のパフォーマンスが全くちがう。
昼寝もきちんとベッドでできるのもリモートワークの良いところ。

 

 

気分転換に犬と散歩へ

この日は、午後少しだけ仕事をして、あとは休みにすることにした。
休みの日や時間も特に決められているわけではないので、やることが終われば自由に休みにすることができる。

気分転換に犬と散歩へ。犬を散歩していると、近所の人に話しかけられることもあるし、彼女がいることで、思わぬ近所の良いスポットを発見することもある。

 

 

散歩中にたまに立ち寄る貸し畑。

ここは、マンションのルーフバルコニーから見下ろせる位置にある。
最近、畑にも興味が出てきたので、息子がもう少し大きくなったらここを少し借りて、何か育ててみたい。

 

 

この日は、畑の脇に矢車菊が咲き誇っていた。誰かが育てているわけではなく、自生している感じがなんとなく良い。

 

 

午後5時、息子の迎えに。八千代市は”野バラ”が5時の合図だ。

息子は、迎えのときも自分に気付くといつも笑顔になって喜ぶ。他の人に可愛がられて、日に日に成長する姿をみると、よしよし、いまのところ、おまえはとても順調だ。そんなふうに思う。

保育園の先生にその日の息子の様子を聞いて、保育園を出る。

 

 

仕事モードから家庭モードに変わる時間

帰り道。
夕日が沈むなか、息子をベビーカーに乗せてゆっくり歩くこの時間が、仕事モードから家庭モードに変わる時間。

 

 

家に帰ると、妻が息子のご飯の用意を済ませている。
帰ってきてから、ご飯までの時間を開けないようにしないと、息子がぐずりだして大変なことになるので、妻との連携プレーが大事だ。

 

 

ごはんを食べて少しすると、お風呂の時間。
お風呂に入れるのは、自分の役割。毎回、妻が息子をお風呂に連れてくるのだけど、この時が一番の笑顔をみせる。なにがうれしいのだろうかと思うけれど、彼の笑顔をみるとこちらも自然と笑顔になる。

 

 

7時半頃。お風呂に入って、しばらくすると息子は眠くなってぐずりだす。
寝かしつけは自分の担当。妻が、寝かし付けしようとすると、息子はなぜかテンションが上がってしまい、寝ようとしない。
息子は、5分ほど怪獣のように泣きまくったあと、おしゃぶりを咥えると、麻酔銃を打たれた動物のようにばたりと倒れ、そのまま寝る。
自分のお腹の上で寝るのが、お気に入りらしく、かわいいやつだなと思う。

 

 

やっと静かな大人だけの時間が訪れる

寝かしつけをして、寝室を出ると、妻が用意してくれたご飯をふたりで食べる。

息子が寝て、8時頃から、やっと静かな大人だけの時間が訪れる。
夕食を食べながら、落ち着いて色々と話すことができる。子どもがいないとこんなにいろんなことがスムーズなのかと毎回思う。

夕食を食べると、パソコンを付き合わせて、「くらしてん」の作業時間。
夫婦でこんな活動をしているのもなかなか珍しい夫婦だなと自分でも思うけれど、彼女がパートナーでなければできていないことだし、これが自分たち夫婦なりのコミュニケーションなのかもと思う。

 

 

10〜11時には自分たちも寝る準備。
息子が生まれてから、10時は”真夜中”になってしまった。これまで2人で生活していた時とは時間の感覚が違う。

息子は妻と寝室で寝て、自分は犬のお姉ちゃんとここで寝る。寝ている間に布団を奪われているときもあり、たまに寒い思いをするが、かわいいのでまあいいだろうと思う。

(語り手・聞き手:カトウ シュン)

後編は、東京の事務所や建築現場を回る日の過ごし方。時間に縛られない働き方になって、これまでとは違う街の側面が見えてきました。 7月末公開予定です。