飛び回るくらしから、オンラインで繋がるくらしへ/岩手県


このくらしの主:ナカジマアヤカさん(31歳)

岩手県盛岡市出身。専門学校を卒業後に東京へ上京。上京後は6年間音楽活動をしていたが、旦那さんの仕事に合わせて岩手県へ移住。
挫折して一度は音楽をやめようと考えたが、「自分には音楽がないと生きていけない」と感じ、岩手に住んでからあらためて音楽活動を再開した。普段は遠野市にあるカフェとクラフトビール屋、盛岡市にあるカフェで働きながら、月に5〜10日ほど東京でボーカルレッスンや路上ライブ、さまざまなアーティストのライブ鑑賞をしている。

個人的な活動ではラジオ番組配信や月1でイベントを主催するなど、コロナ前は4つ拠点を持つパラレルワーカーだったが、コロナ後はオンラインでのライブ配信を中心に活動している。

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ナカジマさんのキーワード
#30代 #移住 #Iターン #アーティスト #パラレルワーカー #カフェ #音楽 #犬 #戸建て #東京 #コロナのくらし

撮影時期:2019年11月~20年5月


 

 

8時に目を覚まし、仕事に行く準備をはじめる。漁師をしている夫は朝早くに漁に出かけていて、この頃には家にはいない。
働いている遠野のカフェまでは、車で1時間弱。途中でコンビニに寄って、常温の水とその日の気分で決めた食べ物で朝ごはんを買い、運転しながら食べる。運転している間はボイトレをしたり、曲を覚えるために音楽を聴いたりする。最近は英語の勉強をすることも。車での移動時間は、一人になって気持ちをリセットできる大切な時間になっている。

 

 

 

10時、アルバイトをしている遠野醸造に到着。
ここは国内外からの観光客の来店が多く、ここで働くスタッフもブルワリーを学びに全国各地から集まっていた。
他県の方や海外からのお客様が多くていつも楽しく仕事ができる。移住者も多いので話が会う人も多い。

 

 

別の日、午前中から遠野醸造の紹介で働きだした他のカフェでのアルバイト。
地域おこし協力隊の人が立ち上げたカフェで、コワーキングスペースもある。ここでライブさせてもらったりもしている。

遠野は移住者も多くて、田舎よりも都会の方が好きな自分にとっては居心地が良い。移住後にバイトを探していたが、単に働ける場所ではなく、働きたいと思える場所を重視して探していた。家から近くはないが、働きたい場所があったのが遠野だった。

 

 

 

14時過ぎ、ランチが落ち着いてからまかないを食べる。
シフトによって担当するのがホールかキッチンと違うが、この日はキッチンだったので自分でまかないを作った。顔見知りのお客さんとおしゃべりをしながら食べたりする。18時頃に仕事が終わると、行きと同じで音楽を聴きながら車で帰宅。

 

 

家に帰ると夫と犬が出迎えてくれる。
漁師をしている夫は毎日朝早く起きるため、寝るのも早い。そのため、基本的にこの時間しか顔を合わせることがない。ちなみに、犬は自分が東京などに飛び回るので、その間夫がさみしくないように飼い始めた。

 

19時、一人時間。その時々に、やるべきことをやる。
この日は翌日東京へ行くための準備をしているところ。犬に邪魔されながら、スーツケースに荷物を詰め込む。

 

 

この日は東京に行った。移動中の新幹線は考えるのに良い時間。作曲や作詞に充てることが多い。移動中に見える看板からワードを拾って歌詞を考えることもある。
東京に行けると思うとほっとする。会える人達や行くイベントなど全部吸収したいなと思う反面、何も考えずのんびりしようとも思ったりする時もある。

東京へは月1回くらいの頻度で通う。
東京での活動は、主にストリートライブ。その他、ボイストレーニング・美容室・体のメンテナンスなどあらゆることをする。岩手ではできないことを東京でして発散する。東京にいると自分らしくいられる気がする。

 

東京に着いてカフェでぼーっと人が流れていくのを眺める。ここは赤坂のカフェ。
東京の”誰も自分のことを知らない。だれも自分をかまわない”という、ほっとかれれる感覚に安心する。東京に滞在している間はカプセルホテルに泊まることが多いが、赤坂はカプセルホテルが多くあるのでよく訪れる。

岩手にいるとき、時間が空くと本屋や図書館にいくことが多いのだけど、東京は自分にとって大きい本屋のようなものだと思う。本屋に行くと、どこかの棚に自分の知らない世界があって、それを手に取ってのぞき込むような感覚がある。同じように東京は、街のどこかに自分の興味のある世界が落っこちている気がして好き。

 

 

北上市のラジオ収録の日。
最初、ラジオは友人のアベさんとpod castで始めたものだが、3月から北上ラジオの枠をもらって放送している。ラジオパーソナリティーとしてお給料も出るし、スポンサー探しも自分たちで行う。これはコロナ前でスタジオ収録の様子だが、コロナ後の今はオンラインで収録している。

 

撮影中、新型コロナウイルス流行が発生して、これまでのように東京に行けなくなってしまった。
バイトも営業自粛で休業状態になったこともあり、今までの音楽活動をオンラインでライブ配信するようになった。バイトに行っていたお昼から14時くらいまでの間はオンライン配信をしている。
思いのほか反響があって、長い目で見たら収入源にするのは難しいが、ストリートでやっている時よりファンが集まりやすく、ファンづくりには最適なことが分かった。コメントのやり取りが発生するので距離感も近いし、ストリートよりもファンもコア化する。
コロナの影響は営業自粛など職種によってはダメージが大きいと思うが、自分は得るものも多くてコロナラッキー組かもしれない。

 

 

配信が終わったら家事や犬の散歩。
オンライン配信を始めたら、配信頻度がランク付けに影響するので配信が休めなくなった。家にこもりきりなので、犬の散歩は気分転換になる。
最近は夫も漁の模様などのライブ配信を始めて、夫婦で配信することも多くなった。夫婦ごと好きになってくれる人もいて、自分の活動にも相乗効果が生まれている。

 

ウィズコロナの時代になって、これまでのくらしのスタイルが変わった。もともと田舎だからなにもできないというフラストレーションを抱えながら、岩手を拠点にもがくように活動してきたが、いまとなってどこにいようが関係なくなった。
外に出られないストレスはあるものの、いつかオンラインで得たファンの人たちとのイベントを成功させて、収益も安定したら音楽8割の生活にできればと思っている。

 

 

去年末にヒアリングした際は東京と岩手を往復するくらしだったナカジマさん。密な関係の地方より、誰も自分のことを知らない都会の感覚が好きというのが、ちょっとわかる気がしました。周りのみんなが知り合いの地方とは違って、都会はいい意味で周りにほっとかれているからゆえの自由さもある。今までいろいろ地方在住者の方に話を聞いていて、都会を肯定する人に初めて出会った気がします。

そのくらしもコロナによって一変し、岩手から出られないくらしになってしまったけど、路上からオンラインに舞台を移し、より様々な人と繋がっているとのこと。「地方にいながら新しい表現方法を見つけた」と”都会好き”のナカジマさんが楽しそうに話す姿は、この状況下を生き抜くアーティストの姿として印象的に感じました。

この記事を書いた人:カトウミワコ