平日都心と週末地方のデュアルライフ

「それぞれの価値が違って それぞれに良い」

平日都心と週末地方のデュアルライフ

東京都世田谷⇔千葉県いすみ

このくらしの主
フクシマ シンジさん(38歳)

奈良県出身。高校卒業後、上京し就職。様々な職歴を経るも、現在はアパレル EC サイトにて営業として勤務。週末は千葉県いすみ市に購入した中古物件を DIY でリノベーションしながら、デュアルライフ(二拠点のくらし)を実践している。
撮影時期:2019年3月~5月

■フクシマ シンジさんの活動

「ザ・東京」を体感するアトラクションのようなもの

朝8時、ごはんを食べて家を出る。

最寄の駅から会社のある恵比寿までは30分ほど。地下鉄の満員電車はすさまじいが、5分程度なので「ザ・東京」を体感するアトラクションのようなものだと思って乗っている。

会社では午前は事務作業、午後は営業開拓や商談などをこなす。帰宅は19時~20時。仕事が終わると、まっすぐ家に帰ることがほとんど。

 

 

この日のゲームはドンジャラ

夜20時、家に帰って妻が作ってくれた夜ごはんを食べる。

妻と子供たちは、すでに食べ終わっていることが多い。夜ごはんの後は家族との時間。子供たちとボードゲームをしたりして過ごす。この日のゲームはドンジャラ。

 

 

家族みんなが寝静まった24時頃から、ブログの更新やYouTubeの動画編集などの作業を行う。

動画はいすみでのDIYの様子を撮影してYouTubeにアップしている。大体作業は27時まで行っている。(ショートスリーパーなので、睡眠時間が短くても大丈夫。)

 

 

子どもと一緒にいすみへ向かう

金曜の仕事の後、会社から一旦家に帰り、子どもと一緒にいすみへ向かう。
いつも最寄りの三軒茶屋駅を20時半過ぎに出発する。電車を何度か乗り換えながら、二時間ほどかけて行く。

 

 

夕方になると無人駅になるので、しんと静まり返っている

23時頃、いすみの長者町駅に着く。
夕方になると無人駅になるので、しんと静まり返っている。ちなみに、乗降客は2、3人しかいない。

都会とは違う、自然の匂いと辺りの静けさで、リセットされたような気持ちになる。

 

 

歩いて10分ほどでいすみの家に着くと、まずは前の週の片づけをする。

遅い時間なので、子供はすぐ寝てしまうこともあるが、電車でよく寝られたときは、自分の工作を黙々とやっているときもある。

 

 

すぐにおにぎりを持って息子と一緒に海へ

土曜の朝6時頃に起きると、すぐにおにぎりを持って息子と一緒に海へ。

いすみでの朝ごはんは海で食べることが多い。大体いつも海に入るのは30分くらい。このときはまだ水が冷たかったが、子どもは海に入って遊んでいた。

 

 

息子がボディボードをしている間、自分は流木探しをする。

ここで拾った流木は、家のDIYの材料にしている。何かをひっかけるための流木がほしいとか、目的をもって探しているので、ウォーキングをしながら無心で探していることが多い。

見つけた流木を見ながら、「ブランコの座るところに使えるかも?」とか急にひらめく時があったりして、言い表しがたいけれどなんとも充実した気持ちになる。

 

 

海から戻ると、家のリノベーションに取り掛かる

海から戻ると、家のリノベーションに取り掛かる。

この写真はいすみの家の全景。真ん中にある煙突は外でも使える薪ストーブ。寝るのは右側にあるテント。左にあるのは8万円で購入した中古車で、いすみの必需品。

東京の家は賃貸だが、いすみの家は500万で購入した。かなり古い家で補修するところが多かったこともあり、当初はそのままでは住めなかったので、リノベーションすることに。そこまでお金をかけず、廃材やリサイクル品をメインに自分のできる範囲でDIYしながら、完成を目指している。最近、ようやく一部屋完成したので、外のテントだけでなく、室内でも寝られるようになった。

ちなみに、もともとキャンプ好きで、よく山に遊びに行っていたが、最近はこのテントで寝ることでキャンプ欲が満たされている。

 

 

地域の方からもらった廃材を使うことも多い

この日は、ロフトの床を張る作業をした。

ロフトの床は2×4の木材を隙間をあけて並べることで、光が通るように設計している。使う木材は、地域の方からもらった廃材を使うことも多い。

 

 

外でも作業できるように、庭に作業台を設置している。
この日は丸ノコでロフトの床材になる木材を切る作業をした。

 

 

自分でミッションを探して、工作をしだすことが多い

自分がDIYをしている間、息子は端材を使って、サイコロを作っていた。
作業の手伝いをしてくれることもあるが、自分でミッションを探して、工作をしだすことが多い。

 

 

12時。町のチャイムが鳴る。息子とおにぎりを食べながら休憩する。

この時期は、家庭菜園に植えたイチゴがなっていたので、いすみに来るたびに摘んで食べていた。庭にある梅の木も実をつける時期で、特に手入れをしていなくてもたくさん実がなる。梅を漬けるビンが2つ埋まるくらいの量が10分で採れてしまう。採ったらビンで漬けて梅ジュースにする。

 

 

いつもはあまり考えないようなことを考えている

夕方、日が暮れると作業をやめて帰り支度をする。

都会では見られない貴重な瞬間。日の沈むのが綺麗な時は10分くらい眺めているときもある。

気付いたら、家族や友達のこと、生まれた意味みたいな、いつもはあまり考えないようなことを考えていることも多い。

 

 

帰りの駅からの眺め。

17時には電車に乗って東京に帰る。電車の中では作業で疲れているため、寝てしまうことが多いが、YouTubeにあげる動画のことを考えたり、携帯でblogを書いている。

 

 

それぞれの価値が違って、それぞれに良いと思っている

東京での休日。息子とスケートボードをしに行ったり、家族で過ごすことが多い。

東京といすみ、どちらの方がいい、悪いではなく、それぞれの良さがある。東京は東京で家族との時間があり、仲間もいて、いろいろな情報に触れられる点がメリットだと思うし、いすみはいすみで自然と一体になれて、東京では出会えない人達と知り合えることがメリットだと思う。

それぞれの価値が違って、それぞれに良いと思っている。

 

(聞き手:カトウ シュン)

 

いままで多くの人が”利便性”を追い求めてきたけれど、その先に、”幸せ”は繋がっていないと思う。そろそろこれまでとは違う価値観で、くらしを実践していくタームに差し掛かってきているのではないかと思う。いすみの家を完成させた後は、この価値観を共有していく場として、いろんな人に使ってもらいたい。