Uターンしてうまれた家族との時間
北海道北斗
朝、6時半頃に起床。支度をして家を出る。店は自宅の隣にあって、7時頃から仕込みをはじめる。
冬は雪かきをしてから仕事に取り掛かるが、今年は雪の多い年で大変だった。
今は豊かな食材が普通に仕入れられる
この日の食材の目玉はカニ。
東京ではこんなに大量のカニを調理をした経験はあまりない。この地域だからこそできる料理だと思う。東京での経験もあるため、今は豊かな食材が普通に仕入れられることにありがたみを感じる。
店の開店は11時。
冬は店の前の駐車場に厚い氷が張るので、それをつるはしを使って砕く。重労働だが、お客さんが駐車しやすくすることも大切な仕事。
家族で笑顔で食事をしている姿をみられるのが何よりもうれしい
Pokke dishの常連さん。家族で笑顔で食事をしている姿をみられるのが何よりもうれしい。
自分自身が子供のころ、家族と外食に行くという経験が貴重な時間ですごく良い思い出として残っているので、自身が営む店も敷居の高い店ではなく、家族で過ごせる温かい店にしたいと思っている。
平日に家族と過ごす時間が増えた
店は16時で閉め、その後は買い出しや翌日の準備をする。
夜の営業は週末のみにしているので、平日に家族と過ごす時間が増えた。
東京に住んでいた時は、仕事がある日には家族そろっての晩御飯はできなかったので、今は仕事のある日でも一家団らんの時間を取れることが嬉しい。
2歳になる次女の添い寝をし、翌日のメニューを決めて23時頃に就寝する。
この日はケータリングの仕事。
東京在住時から知り合いのヌマタさんからの注文で、函館市五稜郭まで配達。店で料理を楽しんでもらうだけでなく、提供する料理・サービスを通じて喜んでもらえる仕事を心がけている。
昔はこの屋根を飛び越えて遊んだりしていた
冬になると屋根からの雪で通路が埋もれてしまう。
この風景を見ると子供のころ、冬になると「頭に雪が落ちてくるから屋根の下で遊んではいけない」と言われたことを思い出す。昔はこの屋根を飛び越えて遊んだりしていた。
今では冬の生活の一部
この年の雪は例年以上に多かった。
東京ではめったにすることのなかった雪かきだが、今では冬の生活の一部。
近くのスーパー、トライアルの様子。
殻付きの生ほっけやホヤをはじめ、築地と同じ鮮度のものがこの価格で売っているのを見ると、食材の豊かさに驚くと同時にUターンしてよかったと感じる。
休日のお昼はよくマラソンをする。
函館マラソンのコースでもある「巴大橋」に向かって、緩やかにカーブを描く道路から津軽海峡が見えて、だんだんと函館山が視界に入ってくる。函館山が正面に見える道路を突き進むと函館市街にたどり着く。
この地域で最も好きな景色の一つ。
お店は日曜・月曜定休日で営業しており、休みの日は7時頃に起床して近所の子供が遊べる場所へ出かけることが多い。
この日は大沼公園で催されるお祭り会場へ。普段は沼のエリアでスノーモービルもできるが、今年はまだ幼い娘と一緒に氷でできた滑り台で遊べる会場へ。
家族と過ごすための時間が増えたことに幸せを感じる
別の日は、長女も一緒に道南四季の杜公園へ。
写真は長女が次女を抱えてそりに乗る様子。やはり都会とは全く異なる遊び・アクティビティが沢山あると感じる。
Uターンをしてお金を稼ぐための時間の割合が少なくなり、家族と過ごすための時間が増えたことに幸せを感じる。
自分の時間としては、学生時代からずっとやっているバスケットボールをUターンしてからも続けている。
これはチームで大会に参加したときの写真。小さい大会かと思ったらたくさんの参加チームがあった。バスケ仲間でも40代で週4でしている人がいて、健全な余暇を過ごす人がいることを嬉しく思う。
料理の勉強のため、気になる飲食店へ出かける機会も増えた。
函館には、以前よりもこだわりのある店が増えたように感じる。この日は西部地区にあるファインデイズバーガーへ。店を出ると第三坂の向こうに函館山が見える。この地域は新しい函館らしさを発信していて、面白い。
自分の店と同時期にオープンした本格的なピッツェリア「デラニマ」にも行く。
営むのは中学校の先輩。学生時代は接点が少なかったが、お互い店を持ってからは色々と相談に乗ってもらい頼りにしている。
たまに行くラーメン屋。
函館と言えば塩ラーメンというのが定番イメージだが、実は塩ラーメンよりも味噌ラーメンが好まれる。
雪解けとその下に隠れる緑が見えると、春を感じる
3月を過ぎると道南地方では雪解けが進む。
溶けた雪の下からは緑が顔を出す。東京では桜の花が春を告げる代名詞だが、こちらでは雪解けとその下に隠れる緑が見えると、春を感じる。
(聞き手:ヒラサワ マコト)
料理人というイメージにとらわれず、自分らしいくらしを実践していきたい。