Uターンして見えてきたもの

「いつかは地元に戻りたいって考えてて」

Uターンして見えてきたもの

北海道 / 旭川

このくらしの主
サワモトハジメさん(38歳)

北海道旭川出身。関西の大学を卒業後、東京の会社に就職。転職した製薬会社で名古屋に転勤後、地元である旭川へUターン。
会社の制度により、自宅と得意先訪問を中心としたホームオフィス制で仕事をしている。2児のパパ。
撮影時期:2022年2月~5月

平日の朝、8時半頃に朝食を食べる。

在宅ワークで始業が9時ということもあって、8時過ぎに起きて、8時半頃に家族の中で最後に食べる。

ハード系のパンが好み。ハード系パンは歯が生えそろったばかりの次男も大好物で、自分のごはんが終わった後でも膝の上に乗ってきておねだりしてくる。

 

 

朝食の時にふとリビングに目をやると子どもが遊んでいる。

リビングが広々としていて、窓も大きいので日当たり良好なのが気に入ったポイント。和室が続き間になっていて広いので、子供が駆け回って遊ぶ。

 

 

↓の道路標識が頼り

午前中は家の中の仕事部屋でデスクワークやWebミーティングをし、午後は営業先の病院に行くことが多い。

近い所だと車で5分の病院もあれば、遠いところでは車で片道4時間ほどかかる病院も。
冬は天気が悪ければホワイトアウトすることもあるので余裕を持ってスケジュール管理しないといけない。こんな時は↓の道路標識が頼り。

 

 

雪崩が起こって道をふさがれる

国道走行中、雪崩が起こって道をふさがれる。
約15分後に重機が到着、雪をどけてくれてとりあえず開通。その後ほどなくしてこの道は通行止めになったらしい。

この日はこの冬一番の猛吹雪で、国道が次々通行止めになり後にも先にも行けなくなってしまったので、当初の目的地である稚内の手前にある豊富町内のビンテージな旅館に一泊した。

 
宿が空いていなかったら…、ガソリンがなくなったら…と考えるとゾッとする。
冬の長距離移動前には、天気予報を確認して危ない時には自重することも必要と学ぶ。

 

 

天気が良ければこんな景色眺めながら音楽聞きながら気持ちよくドライブ。
ずーっと平坦でまっすぐな道がひたすら続く。

天塩川と国道がしばらく並行している箇所があって、真っ白に凍結した川面にシカの親子が足跡を残しながら歩いている風景に出くわすことも。

なんだか野生動物たちの世界の中に人間が一人お邪魔しているような感覚。人の気配もないような道が延々と続くが、個人的には寂しさよりも心地よさが勝る。

 

社会人になって以降、札幌→東京→名古屋と、いわゆる都会で15年ほど働いてきたが、仕事にはやりがいを感じつつも都会生活にはなかなか慣れることもなく、子育て環境を考慮してもずっといつかは田舎で暮らしたいと考えていた。

会社の都合で住む場所を転々とする生活よりも、好きな土地に居を構え根を下ろして定住したいと思い、名古屋に異動して3年くらい経った時に意を決し当時の上司に相談した。すると希望勤務地を聞いてもらえることになり、相談から3年越しでありがたいことに一番に希望していた故郷の旭川勤務がかなった。

 

 

道の駅が頼り

コンビニもないような田舎では道の駅が頼り。

ここは北海道内の自治体でも最も人口が少ない人口約700人の音威子府村の道の駅。ここを逃すと隣町の道の駅まではさらに40~50分かかってしまう。

ちなみに、旭川から車で1時間半ほど北上したところにある名寄より北には、コンビニといえばセイコーマートしかない。

 

 

お昼に各地の名産を食べるのは楽しみ。

この日は猿払村の道の駅で名産のホタテ丼を頂く。

猿払村と言えば、村の運命を賭けたホタテの養殖業に大成功し、以降日本一の水揚げ量を誇るまでになり、平均所得は道内ダントツ一位という唯一無二な村。

 

 

自宅から約4時間、ひたすら北上して

自宅から約4時間、ひたすら北上して、車を降りたらボディーにつららがびっしりついていた。

この日は比較的暖かく路面が泥水だらけだったので、それが車に跳ねて風に当たって冷やされて凍ったのか。
冬場の車に関しては、雪は積もるし、氷はへばりつくし、泥は跳ねるし…で、どんな車でも洗車してもすぐに汚れてしまう。

 

 

20~21時ごろに帰宅。家族はご飯を終えているので一人で食べることが多い。

この日は、実家の知り合いから蟹が届いたので、みんなで夜食に食べた。実家にはいろんなところからお裾分けがある。北海道だけあって海産物や農作物が多い。

夕食後、長男次男と一緒にお風呂。広めなので3人で入るには便利。一人で入る時も風呂場が広い方がリラックスできる気がする。リラックスできると忘れていたことを思い出したり、仕事のアイデアがひらめいたり。

子どもの寝かしつけに付き合った後、仕事部屋で仕事をしたりして25時〜26時に寝る。

 

 

休みの日、子どもたちと公園に行く。

北海道は広い道が多いけど雪が積もると、道路脇に除雪車が除けた雪山が連なって狭くなる。旭川は雪に備えていることや一区画が広いこともあり、道路と建物の間に距離が空いている。道路と敷地の間に塀を設けている家も少ないので、開放的な印象があって空も広く見える。

特に冬の白銀景色は明るくて好き。天気がいい日だと、日光が雪に反射して目が痛いくらい眩しいこともある。東京や名古屋で雪のない冬も経験したし、雪は生活に不便なことも多いけど、個人的には雪がある冬が好き。

 

 

今は思い立ったらすぐ行けるところがいい

マンションを出て徒歩1分で常磐公園という広い公園に行ける。
木のある所から向こう側が公園。

名古屋にいたころもよく子供と公園に遊びに行ったが、ボール遊びができるような広い公園までは遠いので車移動だったし、駐車場も狭くて空くのを待たないといけないこともあった。今は思い立ったらすぐ行けるところがいい。

 

 

冬の常磐公園。雪捨て場に積み上げられた雪山から滑り台を作って一緒に遊ぶ。

新雪に足跡が付いている景色もきれい。

 

 

「ランニングするよ」と言ったら長男がついてきた

河原が近いので、春から秋はランニングも気持ちいい。

「ランニングするよ」と言ったら長男がついてきた。旭川は周囲の山々から河川が集まっているため、橋や河原や河川敷が多く、街中にも自然を感じられるスポットが点在している。

 

 

天気が良いと北海道の屋根、大雪山系の山々を望むこともできる。

 

 

地元ならではの景色に愛着を感じるようになった

旭川は、上川盆地の中央に位置しているので四方を山に囲まれている。

近くの青々とした山と、遠くに見える白と青の山のコントラストが美しい。生まれてから高校までの18年間、旭川で暮らしていたころはほとんど意識していなかったが、Uターンして戻ってくると、地元ならではの景色に愛着を感じるようになった。

 

 

親子3世代で市内のスキー場へ。

家から車で20分足らずなので気軽に行ける。長男は、スキーがほぼ初めてだったけどかなり気に入ったらしく、2月は毎週末くらいスキー場に行った。何度も転びながら思い通りにいかないスキー板と格闘しながらも、少しずつ上達している息子の姿を見届けるのは楽しい。

東京や名古屋にいたときは旭川の両親に会う機会も限られていたが、旭川に越してからは気軽に行き来ができるので、孫が大好きな両親にも少し親孝行できているかなと感じる。

 

 

子供が減っていて長男の同級生は8人

長男が通う小学校の校舎。

旭川の中心地にあり、市内でも最も歴史ある小学校らしいけど、今は子供が減っていて長男の同級生は8人。でも、実際に通ってみると転校してきた時から歓迎してもらって、先生方も子供一人一人を細かく丁寧に見てくれて、教育にも熱心でありがたい環境。

全校児童も少ないので、運動会の観戦は人数制限も早朝からの場所取りもなく快適。

 

 

最近の週末はハウスメーカー各社と打合せしている。

子供が小さいうちに、家族みんなが楽しく、伸び伸びと暮らせるような家を建てたい。

人生一番大きな買い物なので、自分たちが家にどんなことを求めているのか、今後どんな生活をしたいのか、妻と一緒に事細かに洗い出して理想の住まいを考え中。こういうことを考えるのは楽しい。

 

(撮影・語り手:サワモト ハジメ)

まずは自分や家族が旭川での暮らしに馴染み楽しみつつ、今後はこの地に住む人々がよりよく暮らしていくために何ができるのか地に足をつけてじっくり考えていきたい。