働く軸をたくさん持つ“つまみぐい”のくらし
岩手県遠野
このくらしの主
アベ マホコさん(25歳)
宮城県出身。地方の大学を卒業後に上京。Webデザイナーとして働いていた後、遠野物語で知られる岩手県遠野市の地域プロデュースに興味を持ち、現在は遠野市に移住。地域プロデューサーのアシスタント、クラフトビールのお店、カフェのアルバイトを掛け持ちながら、遠野市内のシェアハウスで暮らす。
撮影時期:2018年12月
ぼーっと眺めながら目を覚ます
朝8時頃に起きると、リビングにある窓から外の景色をぼーっと眺めながら目を覚ます。
遠野に来てから住んでいるこの家は、古い家をリノベーションしたもので、何人かの同居人とシェアして一緒に住んでいる。最近、窓辺に知り合いが薪ストーブを付けてくれたので、とても暖かくなって、より居心地が良くなった。
起きて少しすると、朝ごはんの時間。
朝食は住人全員で食べるということではなく、それぞれでとっている。ここは共有スペースのダイニングでとても落ち着く場所。窓辺の薪ストーブと同様、テーブルは近所の方に譲ってもらった。
山の雄大さと空の広さになんだかパワーをもらえる
9時頃、車で遠野の街の中心部にある事務所に向かう。
この日は遠野の地域プロデュースをしている事務所の出勤日。そこで週に3日ほどアシスタントとして働いている。
この景色は毎日見ても飽きることはなく、山の雄大さと空の広さになんだかパワーをもらえる。
10時頃、事務所に着いて仕事を始める。
駅前通りに面した建物の一階を事務所としているので、知り合いが通ると、ひょろっと中まで入ってきて雑談を楽しむこともしばしば。
事務所での作業時間。
主に事務所では、実施したイベント周りの編集、写真選定など、様々な作業を行っている。
ちなみに撮影した当時は年末の時期で、お寿司やみかんなど、いろいろな差し入れをいただいた。
いただき物をもらうことが多く、都会との違いを感じる
この日は、事務所の大家さんが野菜を持ってきてくれた。
遠野に来てから、いただき物をもらうことが多く、都会との違いを感じる。ちなみに、このあたりの地域には”おかみさんの会”という会があり、困ったことなどがあったら独自のネットワークを駆使して解決してくれて、とても心強い。
仕事が終わると、よくスーパーに寄って帰る。
事務所のすぐ近くにあるので便利。産直コーナーがあり、安くて新鮮なものが多い。
この日は、飲食店でのアルバイト。
週に1~2回ほどここで働いている。クラフトビールがおいしいお店で、常連さんや旅行者など色々なお客さんが訪れ、いろんな人と会話できるのが楽しい。
移住者のよき先輩のような人
別の曜日には、お昼にカフェでも働いている。
料理担当のえっちゃんは地元の人だが、移住者のよき先輩のような人。いろいろ教えてくれて、とても頼りになる。バイト以外の日でもふらっと会いに行くこともある。
この日は、夕日がとてもきれいだった
バイトの帰り道。
何気ないけれど、好きな風景のひとつ。この日は、夕日がとてもきれいだった。
オープンで移住者の若者も歓迎してくれる
休日、遠野市内の限界集落での餅つき会があると同居人に聞き、一緒に行った。
70~80代のおじいちゃんおばあちゃんがほとんどだったが、餅をつく姿はとてもパワフルだった。みなさんとても明るくオープンで移住者の若者も歓迎してくれる。
この日は、とある”留守番”をしに、遠野の山奥へ。
ゆっくり自分だけの時間を過ごすことができる
この家の持ち主も移住者。仕事で家を空けることが多く、その間に犬の世話をしに、何人かのメンバーで順番に”留守番”をしている。
留守番中の仕事は、朝夕の犬の散歩と餌やり。携帯の電波もつながらないほどの山奥なので、外界とのコミュニケーションがシャットアウトされ、ゆっくり自分だけの時間を過ごすことができる。これが逆にリフレッシュになる。
(聞き手:カトウ シュン)
東京で毎日同じ場所・時間でデスクワークしていた時と比べると、遠野にきてからは”つまみぐいの生活”。1つではなく、いろんな軸があって新鮮な毎日を過ごしている。いずれは雇われるのではなく、”自分の仕事”をつくっていきたい。