動物と子どもたちに囲まれた”ありのまま”のくらし
北海道七飯町大沼
このくらしの主
タカハシ サトコさん(49歳)
群馬県出身、北海道七飯町大沼在住。8年前にIターンで大沼に移住。
大沼流山牧場の中にある「牧場のこども園 スーホ」で保育士を務める。
■タカハシ サトコさんの活動
朝、6時ごろには起床して、台所に立つ。
保育園は週4日給食が出るが、出ない日はお弁当を作って持っていく。
駒ヶ岳を望みながら、通勤する毎日
家を出て、車で保育園に向かう。
駒ヶ岳を望みながら、通勤する毎日。
園に到着してすぐに取り掛かるのは、その日みんなで飲む野草茶の準備
8時前、園に到着してすぐに取り掛かるのは、その日みんなで飲む野草茶の準備。
野草が生い茂る季節に摘み取り、乾燥させて茶葉を作る。(もちろん無農薬。)開園当時から1年半通っている5歳の子どもは、ブレンドした葉の種類がわかってしまうほどになった。
動物たちの世話をする「朝飼い」を行う
子どもたちが登園して揃ったら、8時半ごろには動物たちの世話をする「朝飼い」を行う。
こども園の担当の動物は、ポニー2頭、ロバ1頭、ヤギ4頭。水を替えたり、フンを取る通称「ボロ取り」を子どもたちみんなで行う。
朝飼いが終わったら、朝作った野草茶で一休み。
新しく作ったヤギ小屋の一画をカフェ風にして、お茶が飲めるようにした。
お昼は給食。
和食中心で玄米菜食にこだわった給食で、調理専門のスタッフが園の中で手作りしている。
子どもたちと解体を眺めた
森の中の小屋にて、週末の野外料理ワークショップのために燻製にされた鹿のモモ肉。
鹿は、職員が朝飯前に仕留めた物。子どもたちと解体を眺めた。
まるで”はじめてのおつかい”のようで微笑ましい
毎週木曜日にコープの移動販売車が園に来る。
大沼にはスーパーがないので、ここで給食の食材を買うほか、子どもたちがお買い物をする。その模様はまるで”はじめてのおつかい”のようで微笑ましい。
仕事中でも手を止めて見入ってしまう
すごく幸せを感じる時間
冬の始まりになると、牧場の上空を白鳥の群れがいくつも渡っていく。
羽音を響かせて飛ぶ白鳥たちの鳴き声が聞こえると、仕事中でも手を止めて見入ってしまう。
すごく幸せを感じる時間。
夕方には、朝同様、動物の世話をする「夕飼い」を行う。
この時間は学校が終わった小学生も参加している。
この「夕飼い」が終わって、おやつを食べたら、園での一日は終了。
築40年ほどの家には上水道が通っていないので、山の水で生活している
温泉に入って帰宅。家に給湯器はあるが使っておらず、お湯が出ないので温泉に行っている。
築40年ほどの家には上水道が通っていないので、山の水で生活している。
最近は、勢いよく水が出なくなってきて洗濯も水が溜まるのに時間がかかるから、コインランドリーに行っている。
この「火に近い生活」が群馬にいるときと特に違いを感じる
家では薪ストーブで暖を取る。
高価な薪ストーブではないけど、家の中で焚火をしているように暖かい。これで湯も沸かす。大沼では火を焚いて暖を取ることが多いが、この「火に近い生活」が群馬にいるときと特に違いを感じる。
家は賃貸で1万円で借りている。大沼に来たときは不動産情報がほとんど無く、地元コミュニティに入って直接交渉した。(今は充実しているかもしれない。)
冬は編み物の季節。
同僚の羊飼いから羊毛を分けてもらい、地元の羊毛クラフトの先生から習いつつ。子どもたちもクリスマス前には羊毛でクリスマス飾りを作る。
築年数が経っている家なので、ネズミも出る。
主にヒメネズミだが、キッチンを荒らしたりするので、ネズミ捕りを仕込む。
休日はほとんど台所仕事をして、趣味の保存食を作っている
休日はほとんど台所仕事をして、趣味の保存食を作っている。
漬け物、味噌も作っている。味噌はこども園で子どもたちと一緒に大豆から育てて、作って食べている。
向こう三軒両隣とも家がなく、広大な景色が望めるのが気に入っている
林の向こうに駒ヶ岳が顔を覗かせる家の裏側。(この日はあいにくの天気で見えなかった。)
向こう三軒両隣とも家がなく、広大な景色が望めるのが気に入っている。
週末、牧場で行われた野外料理のワークショップ。
この時は平日にさばいた鹿肉を使ってスープを作った。
(聞き手:カトウ シュン)
子どもは私にとって、ありのままで嘘がない”仲間”。その仲間のために、このこども園が形になるまで、続けたい。