社会、人と繋がるまなざし
東京都日野
このくらしの主
ジョン グアンチョルさん(46歳)
韓国釜山出身。大学生の時に日本に来日。アルバイトなどをしながら日本語を学ぶ。その後、一度シドニーに移住し、現地で今の奥さんと結婚後、日本に戻る。その後、建築会社の営業などを経て、現在は原宿と国分寺でフォトスタジオを経営。昨年から大学院でジャーナリズムを学んでいる。
撮影時期:2019年5月~7月
コーヒーを飲みながらネットニュースを読む
朝6時に起床。
自分の部屋でコーヒーを飲みながらネットニュースを読む。主に政治・社会問題に興味がある。
日本と母国である韓国のメディアを比較しながら読むことが多い。英語圏のニュースもたまに見て多角的に情報を得ている。本棚にある本も日本と韓国のものが半々。
原宿のスタジオまでは1時間以上かかる
朝9時頃、原宿のスタジオ「写真日和」に出勤する。
自宅のある日野から原宿のスタジオまでは1時間以上かかる。8時前には出発するが、ちょうど中央線の通勤ラッシュの時間帯にぶつかるので、朝からとても疲れてしまう。スタジオの予約状況にもよるが、できるだけ混んでいる時間は避けて通勤するようにしている。
原宿はにぎやかな場所だが、スタジオは駅から代々木寄りに歩いた静かな場所にある。明治神宮の近くなので、緑も多い。
9時過ぎにスタジオに到着し、仕事を始める。
ここでは自分が撮影する撮影事業のほか、スタジオのレンタル事業もやっている。駅徒歩5分ほどの距離なので利便性が良く、レンタル事業もよく利用されている。
スタジオは「ライフスタジオ国分寺店」がフランチャイズで経営し、原宿の「写真日和」スタジオは自身のブランドとして経営している。撮影事業はいつも1人で対応しているが、この日の撮影は雑誌の撮影で国分寺のスタッフに手伝ってもらった。
この原宿スタジオと国分寺のスタジオの2つを運営しているが、原宿の方は「大人が楽しむ」ことをコンセプトにしていて、主に個人などのプロフィール撮影や広告、雑誌の撮影をしている。撮影事業やレンタル事業を通して、様々な人や会社を知ることができるというのも面白く感じている。
東日本大震災でボランティアをした経験だった
週2回、大学院に通っている。
13時から5時間ほど授業や勉強、研究をしている。昨年から通っていて、専攻はジャーナリズム。今年度が修了の年なので、修士論文(映像作品の予定なので、修了制作)の提出に向けて頑張っている。仕事の合間に時間を作って、カフェなどで論文を書いている。
ジャーナリズムに興味を持ったきっかけは、東日本大震災でボランティアをした経験だった。被災地の過酷な現状と、メディアで伝えられていることや東京での生活との温度差大きく違和感を感じた。そこから社会問題とメディアに関して興味が出てきた。
ずっと大学院で学びたいと思っていたが、なかなかタイミングが難しく、ようやく昨年入学した。
月に1回、国分寺のスタジオで会議をする。
国分寺のスタジオは今年で10年目になる(以前記事に登場したタンショウもそのスタッフの一人)。ベテランのメンバーが多く、スタジオの運営自体も彼らに任せているが、仕事の内容はLINEなどで情報共有している。
月1回の会議などの仕事がある時以外に、原宿のスタジオの帰り道に突然スタッフ達に会いに行ってスタッフをびっくりさせるのが好き。
家の近くの多摩川にジョギングをしに行く
仕事が早めに終わった時は、家の近くの多摩川にジョギングをしに行く。
目標を決めずに大体5kmくらい走ったり、歩いたり。週2回くらいのペースで、たまに娘と行くこともある。
リングに上がると逃げ場がないのは人生や仕事も同じだと思う
毎週水曜日の夜はボクシング。
息子の高校のボクシング部の練習場でやっていて、いろいろな職業の社会人が参加している。学生時代はテコンドーをしていたが、10年くらい前から友人に誘われてボクシングを始めた。
リングに上がると逃げ場がないのは人生や仕事も同じだと思うし、ボクシングは勝敗がわかりやすいので好きだ。それに、同じボクシングをしている友達と汗を流して飲むビールは最高に美味しい。
仕事終わりの夜はよく飲みに行く。
ここは国分寺にある友人のオランダ人がやっているパブ。オランダ人がオーナーということで外国人の客も多く、インターナショナルパーティーも行われている。基本店員との会話は英語だったり、外国人客との会話も楽しめるので、英語を学びたい日本人客も多い。
アットホームな雰囲気で、和気あいあいとしている。ステージもあって演奏もできる。この日も飛び入りで外国のミュージシャンの演奏が始まった。
「自分を知り、自分が見ているこの世の中を感じて、自分の生きるエネルギーにする」
5月19日から1週間ほど、ライフスタジオの湘南店が主催するボランティア事業でカンボジアに滞在した。
日本のチャリティで集めた基金を地元の宣教師施設に寄付したり、家族写真がない貧しい農村を訪ねて撮影して家族写真をプレゼントしたり、地元の高校生達に写真を教えて、彼らが撮影した写真を展示するなどをおこなった。自分は高校生達の写真教育を担当。
貧しい地域であってもスマホはかなり普及していて、自撮りもかなりするのだが、それは写真の一つの側面でしかない。その側面しか知らない彼らに、写真を撮るという行為は「自分を知り、自分が見ているこの世の中を感じて、自分の生きるエネルギーにする」ということを教えた。
(聞き手:カトウ ミワコ)
将来の展望は様々にある。写真を絡めたこと、そうでないこととあるが、結局何がしたいのかというと社会と繋がること。今後ビジネスなどを通して、より深く社会に繋がることができたらと思っている。