街の風景と、そこにある暮らし【後編】
北海道函館市
このくらしの主
蒲生寛之さん(38歳)
北海道函館市出身。20歳で函館を出てから、オーストラリアや東京での生活を経た後、故郷函館で生業を持ちたいと思い、2013年にUターン。
現在、家業である不動産会社で勤務しながら、宿の運営など、多角的にまちづくりに参画している。
函館の西部地区で、妻とふたりの子ども、そして義母と暮らしている。
撮影時期:2022年5〜6月
■蒲生寛之さんの活動
ー休日の朝?
ホットプレート出してきてさ。ホットケーキとウインナー焼いたりして、みんなで朝ごはん一緒にたべるっていう。
ーこれも休日かな?
休日の昼ラーメンのとき。
ーみんなで食べに行くの?
家族みんなで行くね。
ーここはさっきの西園?
これはまた別のとこだね。これは、美原の方まで足伸ばしてるんだよな。割と新しめのラーメン屋だったと思うな。
ー休日とかはどの辺に行くことが多い?
函館公園に行くことがけっこう多いんだけど、あとは家族風呂行ったりとかね。
それは山の手温泉とか、湯川のほう行ったりとか。
いつもと違う思考になってるから
あとは、やっぱり大沼に行きたいっていうことはけっこうあるかもね。
ちょっとドライブがてら大沼まで行って、直売所で野菜買ったり、七重の方の広めの公園で子どもたち遊ばせたりとか。
七重、大沼方面って、車で走るにもちょうどよかったりするじゃん。
ドライブしてるのも、結構いつもと違う思考になってるからリラックスできるし。
ー函館公園だよね。
特に遠くまで行かないときは、家から5分ぐらいだから函館公園に結構行くんだよね。
特に、下の子が乗り物大好きでさ。
今、ストライダーってあるじゃん。ストライダーってさ、レースとかやるじゃん。それを見つけちゃってさ。
こんなにストライダー好きなら、出させたい!みたいになっちゃって。
なるべく連れてって。
ー練習してんだ。いいね。
これは、旧図書館の前だね。
ーここは今やってないの?
五稜郭公園のとこに移ったからさ。
ーなんかもったいないね。
そうなんだよ。今は閉まってるけど、ここもいずれ活用したいと思ってて。
だけど、動物もだんだん減ってってる
コロナになって、噴水が止まって空になってるから、息子のストライダーのパークみたいになってるっていう。
でも最近、何年かぶりに噴水復活して、結構一部ではビックニュースみたいになってた。
ーこういうちょっとした公園も東京だったら人いっぱいいるけど、贅沢っちゃ贅沢だよね。地方行くとよく思うわ。
でも、ちょっとネガティブかもしれないけどさ、この状況ももう続かないかもね。維持していけなくなるじゃん。
今はまだなんとかなってるけど、大変だよね。
でも、いい公園ですよ。
ー昔よく連れてってもらってたわ。動物もまだいる?
いるよいるよ。
だけど、動物もだんだん減ってってる。
でも、無料だからね。
放課後に海にそのまま泳ぎにいったりとか
家の前だね。
ー家の前のこの景色もこっちからすると羨ましいなと思うけど、どう?この景色とか。毎日見てる風景だと思うけど。
大好きでこの風景が。
これもなんかさ、おれがここまで西部地区にこだわって、仕事にまでなってってるけど、たとえば大災害とかで古い建物が全部なくなったとして、ここじゃなくてもいいってなんのかなって考えたときに、たぶんなんないような気がして。
じゃあ、なんなんだろうって考えたら、やっぱりこのエリアにいると、どこからでも函館山がみえて、割とすぐどっかみたら海があってっていう地形なんだろうなって思ったのよ。
だから毎日の通勤とかでも、絶対函館山観ながら運転するし、っていうのが、めちゃめちゃ豊かだなって思う。
だから、この山見える景色も大好きなんだよね。
理屈抜きでなんとなく目に入ってくる自然のパワーみたいのが、いいなと思って。
ーそれはやっぱり外に一回出てみて、いいなって思った?
オレの場合は2段階なんだよね。市内で引っ越してるっていう体験があって。
子どものころ、本通りに住んでて、中学校入学のタイミングで青柳町に引っ越したんだ。
それで、すげーいい街だったんだってなるんだよね。
放課後に海にそのまま泳ぎにいったりとか。
それがそれまでの暮らしと全然ちがって。
人の雰囲気とかまで全然ちがうように自分には感じて。
大好きになったんだけど。
でも、紆余曲折あって、一回出てみたいっていうのもあって、また帰ってたら、別の視点を持ち合わせたりするじゃん。
で、より一層キラキラしてみえたりして。
ただ、シュンのnoteにも繋がるけどさ、やっぱり閉塞感も絶対あるんだよね。この街には。
それはいくら良い街だって思っても、感じないことがない訳ではない。
でも、幸い好きな方が勝ってるから暮らして行けてるんだと思う。
ーなるほどね。これまで聞いてきても函館の街への想いみたいのがすごい強い方だと思うんだけど、その話を今聞いたら、なんとなくそうだったんだって思ったけど。
それはでも、強烈だっただろうね。
強烈だったね。
たぶんさ、タイミングもすごいばっちりだったんだと思うんだよ。中学校入学ってこれからさ、一番多感な時期に突入するわけじゃん。なんでも刺激を吸収しちゃうような。
それが、ここだったから、たぶんそうなったんだろうなって気がする。
自分が映画のワンシーンにいるような感覚になったり
これ家の駐車場なのよ。函館公園側を見上げてる。
ー電車通りの真ん前なんだ。
そうそう。なんとなく路面電車がきた瞬間一枚撮っとこうみたいな。
やっぱね。たまに使うんだよ。
特に、お酒飲みに行く時とか。とりあえず行きは電車で言って、帰りはタクシーとか歩いて帰ってくるとか。
ー乗るとどんな感じ?
乗るとね。現実ずっとスマホをいじっちゃうけど。(笑)
ーでも、ちょっとエモいよね。オレも函館帰ると無駄に乗るもんな。
なんかね。ちょっと自分が映画のワンシーンにいるような感覚になったりするよね。乗る時とか。
ーわかる。(笑)
乗り降りのシーン好きだね。すごい好きだわ。乗り込む時とか、若干カッコつけちゃってる気するもんね。(笑)
一回そこで切り替えようみたいなね
ーここは前に連れて行ってくれたとこだよね。
これは、「ちょっと天気いいし、あの景色見たいな」みたいな感じで寄るときがある。穴間の。
夕方くらいに行くことが多いね。
でも、こういうところに車で数分で辿り着ける立地って限られてるわけじゃん。
しかもさ、都市機能がある程度ある街の数分先にこれがあるわけじゃん。
それってすげーめぐまれてるなと思って。
反対側の立待岬だったりさ、函館どつくの方だったりさ。
だから、ここに限らず海に一息つきに行くっていうのはあって。
清々しい時に行く時もあるし、逆に全部うまく行かなくて煮詰まっちゃってっていうときも。
ちょっとひとりぼっちで、こういうとこ行って黄昏れるっていうか。
海をみてちょっと落ち着かせるっていうかさ。
ーおれも高校まで函館にいたから、やっぱり海とか行ってたな。
でも、その時は普通だと思ってたんだけど、今考えると贅沢だったなって。
少なくとも東京に住んでた頃は、こういう過ごし方は無理だったなって。
今でも東京での暮らしは好きだけど。
でも、日常の一部にしてしまえる距離感っていうかね。
ーなんか函館の人らしい写真だなと思って、懐かしい感じがしてたわ。
でも、やっぱり悩んでる時とか、テンション高い時もそうかもしんないけど、こういうとこ行くんだね。
うん。一回そこで切り替えようみたいなね。
(聞き手:カトウ シュン)
また数年後には、違う景色が見れてたらいいなって。 見えてる景色がずっと変わり続けてたいなって。 そうなるように当事者として街に関わって、見える景色が変わっていくんだったら、面白い暮らしだろうなって。