”魚”を通して人と繋がるくらし

「『学校』のような雰囲気 に近いと思う」

”魚”を通して人と繋がるくらし

北海道函館

このくらしの主
コニシ カズトさん(37歳)

北海道函館市出身・在住。東京でプロダクトデザインをしていたが、8年前に東京から地元函館にUターン。現在は家業の魚屋を経営。
撮影時期:2018年2月

午前3時
朝起きて、仕事に向かう

午前3時。朝起きて、仕事に向かう。
今年はとても雪が多くて、トラックのタイヤが埋まってしまって、動かなくなることもあった。

 

 

こんな時に役立つのが、雪国の必需品のスコップと銛のような形の「雪割りくん」。
これで雪をかき分けて、車を出さなくてはならない。

 

 

午前4時頃、豊川町にある仕事場の卸売市場に到着。
通勤の道は吹雪で前も見えづらい。

 

 

「アニキ」と呼んでいるこの人は、親子二代でお世話になっている大先輩

市場では、いろんな世代の人が仕事仲間になる。

「アニキ」と呼んでいるこの人は、父親の師匠でもあって、親子二代でお世話になっている大先輩。70代になるが、いまだに現役で働いている。

 

 

午前6時、セリが始まる

午前6時、セリが始まる。

函館の市場では、ここから3時間、午前9時までセリが行われる。漁師さんが次々と魚を運んできてはその都度セリをするかたちなので、時間が長くなる。

漁師さんは、規模が大きいところから、二人でやっているような小さいところまで様々。

 

 

実家の魚屋を継ぐためにUターンする人も多くなっている

市場では同年代の仲間も多い

彼は違う魚屋だが、自分と同じく東京でデザイナーとして働いた後、函館にUターンしてきた。実家の魚屋を継ぐためにUターンする人も多くなっている。

 

 

東京で働いていた時の職場の雰囲気とは全然違って、「学校」のような雰囲気に近いと思う

セリがひと段落すると、談話室で市場のみんなと休憩する

ほかの魚屋仲間もいるが、気を遣う間柄でもなく、フランクな雰囲気。変わった魚を競り落とすと、「そんなの誰が買うんだよ(笑)」って突っ込まれたりする。

東京で働いていた時の職場の雰囲気とは全然違って、「学校」のような雰囲気に近いと思う。

12時にはお昼休憩。大体、ラッキーピエロやハセスト、コンビニ弁当で済ます。

 

 

午後は注文をまとめる作業をして、夕方18時ごろに仕事が終了。(他の従業員は14時くらいで終了。)

やっぱり、帰りも吹雪に会う。

 

 

家に着くと、玄関の扉が冷凍庫の中のようになっていた

家に着くと、玄関の扉が冷凍庫の中のようになっていた。
こんなに雪の多い年は函館に生まれて初めて。

 

 

月に1回くらい、家族同伴で東京などへ出張に行く。

業者対象の展示会で、妻が作業を手助けしてくれている。函館を拠点に東京などを行き来するくらしは結構好きで、これからも続けていければと思っている。

 

 

休日は蔦屋書店などに行って、温泉に入って帰る、というのが毎回のお決まり

休日は蔦屋書店などに行って、温泉に入って帰る、というのが毎回のお決まり。
ここは函館駅前のキラリスで、子どもの施設が充実している。

 

(聞き手:カトウ ミワコ)

函館での日々と月1回の都会への出張というくらしは心地いいバランス。函館を拠点にいろいろ繋がれていければ、と思っている。